まいたけ

ゴジラのまいたけのレビュー・感想・評価

ゴジラ(1954年製作の映画)
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夏になると戦争についての展示の企画をここ数年行なっている。毎年新しい発見がある。戦争中に犬や猫を供出させられた話や、大阪大空襲は第8次まであった、などなど。今年はパンプキン爆弾と言われる模擬原爆について調べている。大阪の田辺で被害にあった女性は、それまで毎日行なっていたボタン製造の仕事が資材不足でなくなったので、その日たまたま作業場の隣で勉強していたから助かった。いつもの作業場には、爆弾で跳ね上がった巨大な岩が飛び込んできたらしい。

311が「シン・ゴジラ」にリアリティを与えたように、戦争がこの映画にリアリティを与えている。戦争の痕跡が街や生活、人の心、まだいたるところにあって、その生々しさは今ではもう出せないだろう。「この世界の片隅に」とは違う種類のリアリティ。

ゴジラシリーズで一番好きな作品は、ずっと84年版のゴジラだった。対決ものじゃないことや武田鉄矢がでてることなど理由はいろいろあるが、久しぶりの“ゴジラ対無力な人類”を描いた「シン・ゴジラ」が出てきて一位が入れ替わった。
改めて初代を観ると、オマージュと思われるカットや画角など、なるほど、という箇所がたくさんある。でもまあそのへん全く詳しくないので省略。

「ゴジラ」はもちろんフィクションだけど、戦争体験や被災体験がなくここまで生きてこれたのは、時代的にも世界的にもすごく狭いスポットに入ってたんやなぁ……と思うと同時に、こんなラッキーいつまでも続かないかな、と怖ろしくもある。
何が起こってもベストを尽くしつつ、運を天に任せるしかない、という事態は、けっこう頻繁に、現実に起こっている。天災はともかく、人為的に起こることもままあることがやるせない。
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