このレビューはネタバレを含みます
群衆と個。社会と個人。
森の中の一本の木。
共依存の関係性。自己中心性。
冒頭、二人を助けたいと考えて二人とも死なせてしまった藪池が、最後には人を撃ち、枯れ木を殺すという異化の重ね方も…とてもシンボリックな作品に思えて、実際はインスタレーションな表現にも見えてくる。
森に囚われているから、森からは抜け出せない。
どうしたって、人は人の中でしか生きられない。
重層的だけど中途半端な『解』しか提示しない。
それも現実と同じだから、観る側も『空気を読む』しかなくなる。とても『日本らしい』作品。
そういうものだ。みんながやってるんだから。
みんなが間違ってれば、自分が間違っても安心?
正解が判っていても、言い出せなかったりして…
なんとなく『神道』だとか…日本古来からある『概念』『観念』を思い浮かべた。
天皇を国民統合の象徴とした国。
『統合』される事に抵抗がなくなってる(笑)
例えば、この作品の解釈は難しい…
でも、万人が納得する『最適解』があったとしたら、人々はそれを信じるんだろう。
だとしたら、様々なレビューに書き出された各々の解釈は…爆破して、消し去るべきかな?
全てをそこに統合したいと思う?
ああ、この人のレビューすごいな。
こんな考察があるんだ。
でも、この人のレビューは切り口が独特で…
その人なりの世界観が見えて、面白い。
それって森の中を彷徨うみたいだよね。
好奇心。新しいものへの欲求。
そこで遂に『自分の解釈』が芽吹いて…
自分の中で育っていく。
暗示的な表現としてのラストシーン。
いや、元々だって皮肉かな(笑)
それが森か、我々の社会かの違いでしかない。
木を理由にした話というだけで…
例えば、それは資本主義に置き換えてもいい。
存在が持つ普遍的な性質と、そのカルマと…
連綿と続いてきた、永続的な崩壊の一途。
生きる力、殺す力。
己の尾を喰む蛇のように…輪転する力。
死と再生に思いを馳せてみるのも一興…かな(爆)
共存共栄は理想だけど…実際にそれを行おうとすると歪な形になってしまう。
故意に不正解を選ぶ…そんな今の形こそが正しいのか否か、観る人に問い掛ける作品。