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瀧の白糸のkunicoのレビュー・感想・評価

瀧の白糸(1933年製作の映画)
4.5
身につまされることばかり...!!!
今まで観てきた恋愛劇の中で一番好きです!!!!

女水芸人、瀧の白糸は夏場の巡業で北陸を訪れる。
白糸は、その時彼女を乗せた馬車の御者である青年に淡い恋心を抱いていた。
青年が貧しさ故に東京の大学に進学できずにいると知り学費の援助を申し出る白糸。
東京と金沢の遠距離片思いをしながら、彼女は青年との再会を心待ちにして日々仕事に励んでいた。
しかし、お金というものに目がくらむ周囲の人々。
その欲深さに呆れ怒るが姉御肌な白糸姉さん、ついつい後輩の口車に乗せられてお金を渡してしまう。
母の看病に当てたいと言われ預けたお金も夜逃げに使われ、それ以降も理不尽な災難に遭い続ける姿は「溝口よ!どうしてこの女をこんなドン底に突き落とすんだ!」と涙が出てくる。

でも、だからこそ青年のことを心の支えにする瀧の白糸が美しく見える。

旅座仲間にはとことん姉御肌でかっこいい白糸姉さんだけど、青年を想う彼女は献身的でありどこまでも乙女なのだ。
このギャップが....!!!アラサーの皆さん!観よう!!
途中まで青年を「どうせヒモだろ?どうせ東京出てきてハメ外してウェイしてんだろ??そうだろ??」と邪念まみれな目で見ていた私!!ごめんなさい!!純情でした!!!感動した!!!

今回、弁士付きの上映で鑑賞しましたが、本当に素晴らしい映画体験でした。
一人の人間からあんなに沢山の声色が出るなんて、とまず驚いたし、あのライブ感がたまらない。
弁士さんってご自身で無声映画を脚色し演出されるみたいで、人によって違う作風を楽しめるそうです。
だから、私たち観客はその弁士さんのフィルターを通して作品と向き合うことになる。
IMAX・TCX大好きな私だけど、こんな一期一会な上映形態も今の日本から無くなって欲しくないなと強く思いました。
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