きゅうげん

ファニーゲームのきゅうげんのレビュー・感想・評価

ファニーゲーム(1997年製作の映画)
4.1
奇才ミヒャエル・ハネケの問題作。
主流の大作映画、とくにハリウッド映画が犯罪や暴力などに対して鈍感になっていることを警告・告発するために撮ったという、監督自身の切実な危機感から生まれた野心的作品です。
あえて直接的な暴力描写を観せなかったり、あえて小康状態をワンカットで観せたり、映画的センスの光るワザは「流石」の一言。
また、あまりにも有名な“第四の壁”を破る要素の「ギョッ」と感とか、ジャンル映画の“あるある”“お約束”を先回りして潰してゆくような展開とかは、とても機能的と言っていいでしょう。

……が、メタフィクションという劇薬は効果が切れるのもあっという間。
ゲーム再開後のパウルのセリフの数々は早くも食傷気味。その後の驚天動地の巻き戻しシーンには、ウンザリしちゃう人もいるかも。
(この巻き戻し演出、フィルムじゃなくてビデオなのが時の流れを感じさせますね……)
とにもかくにも、時代に残る異色作であることに疑いはありません。