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ALWAYS 三丁目の夕日のnt708のネタバレレビュー・内容・結末

ALWAYS 三丁目の夕日(2005年製作の映画)
4.4

このレビューはネタバレを含みます

カタチはどうあれ誰もがお互いを思いやり、明るい未来を信じて支えあいながら生きていた日本。そんな時代の明るい側面だけを描いたノスタルジックな映画という批判もあるかもしれないが、明るさの裏にある闇がふとした瞬間に感じられるからこそ、私は本作を簡単には批判できない。

否、冷静に考えればその考えも間違えているのかもしれない。本作がやろうとしたのはむしろようやく戦争が終わって、明るい未来への道が開けたにもかからわず、人々は貧しいものと富めるものに分断され、そのうえ巷では犯罪が蔓延っている、、それでもなお未来は明るいんだと信じていなければ、あるいは信じ合っていなければ生きていけなかった、そんな人々の暮らしを描くことだったのではないだろうか。

本作の主役は何と言っても子供たちだろう。彼らを見ていると、子供はいつの時代も無力で、馬鹿々々しくて、それでも純粋で、勇敢だということを思い知らされる。しかし、その純粋さと勇敢さは時に大人以上の力を持つこともあるのだから、一概に無力だとか馬鹿だと言うこともできない(言うべきではないかもしれない)。

だとしたら時代とともに変わってしまったのは大人のほうなのだろうか。子供たちの可能性と彼らが生きる未来をじわりじわりと蝕んでいく大人たち。子供たちが本作を観たら何を思うのか。その答えに大人たちの変貌ぶりが暗示されるはずである。もし子供たちがこの映画を観る機会があったらぜひ感想を聞いてみようと思う。自分が生きていたわけではないにもかかわらず、あの時代はよかったと思える1960年代(もちろん嫌な側面もたくさんあるが)。あの時代の人々が描いた未来はこんなのでよかったのだろうか、、
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