竜平

いますぐ抱きしめたいの竜平のレビュー・感想・評価

いますぐ抱きしめたい(1988年製作の映画)
3.6
香港の裏社会に生きるとある男のもとにひょんなことから従妹が泊まりに来て、というところから始まる話。切なさと儚さ香るラブストーリー。

ウォン・カーウァイの長編デビュー作。主演がアンディ・ラウとマギー・チャン。主人公のギャングの男は若いけども兄貴分であり、まだ血の気も多い。そこには性格に難ありまくりで仕事も一人ではなかなかこなせない、なんとも油断ならない弟分がいて、こいつの起こす問題に主人公も巻き込まれていく。またそこに掛かってくるのがなんとも危うい恋模様。惹かれ合う様は「危うい」ながらキュンキュン、で一線を越える「ここ」ってなシーンはなんとも官能的。初々しいマギー・チャンの可愛さよ。主演二人以外の時代を感じる大味演技や中国語の曲たちはまぁご愛嬌として、復讐や友情が絡みつつで終盤はどう転ぶか予測できない展開に何気にハラハラドキドキ。ギャングエピソードと恋愛エピソード、この二つを変に交わらせてこないあたりは逆におもしろい気がする。そんでそれぞれ描き切らない感じ、その隙間の部分にも魅力を感じれた次第。

ウォン・カーウァイ作品はなんか本当に映像の感じだったり、あと人物がただ黙って同じ空間にいるだけでもオシャレなんだよなと。今作は80年代の空気感と、更に「エモさ」も漂う一本。昔の中国映画ということで途中で飽きるかなーとか勝手に思ってたけど、そんなことはなかったよん。劇終。
竜平

竜平