竜平

幸せの行方...の竜平のレビュー・感想・評価

幸せの行方...(2010年製作の映画)
3.7
裕福な不動産一家に生まれた男にまつわる奇妙で不可解な話。ライアン・ゴズリング主演、キルスティン・ダンスト共演、実際にあったという事件をモチーフに描くサスペンス映画。

1971年から始まり、時折そこから数十年後の現在の様子を挟みつつ話が進んでいく。徐々に判明していくゴズリング演じる主人公の抱える心の闇、そしてそれを目の当たりにすることで周囲に募っていく不満と不安。ダンスト演じる恋人と一緒になって、こっちもその不穏な状況にどんどん巻き込まれていくという感じ。登場人物の、とくに主人公の立ち位置にいる人物の印象がこんなにも変わっていく作品ってめずらしい気がする。ジャンルとしてもラブロマンスやヒューマンドラマの様相から、いつの間にかサイコスリラーに移り変わっていくという、この流れというのがなんとも不思議。細かいところまでは写さず、断片的な描写だったり、後々瞬間的に見せるカットだったりで真実を匂わすという構成も上手い。個人的には、見終わってから再度部分部分を見直すことでようやく全体像を把握できたというところ。

にしてもこれはなかなか興味深い話、というか、まぁ人物名などは変えてるけども一応実話だということで、それによる没入感があるなと。しかも実際の方はなんやかんやで未だに未解決なんだとか。例えばデヴィッド・フィンチャーの『ゾディアック』みたいな、でもそっちよりも今作はもっと人為的だし、また劇中でわりとはっきり真実を映し出してたりもする。変な具合のモヤモヤに包まれる、そんな一本。

思ったのは、親ありきで子は育つ、ということ。今作にあるのは、幼い頃の境遇とかトラウマとかが最大の闇を生んでしまうパターン。今作を見終わったあとには実際の方の後日談を調べてみることをオススメする、そこにちょっとスッキリする、と共に、たぶんちょっと笑う。
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