来夢

ブラザーズ・オブ・ザ・ヘッドの来夢のレビュー・感想・評価

4.0
ホラー以外のモキュメンタリーってなかなか珍しく、公開当時はまだ今ほどモキュメンタリー自体多くなかったうえに、モキュメンタリーとしての出来がとても良かったので、モキュメンタリーと知りながら、モデルとなった人がほんとにいたのかなってちょっと調べてしまったよね。よくできた作り物。
見世物小屋の奇形、異形の生物を偽物と知ってみるのは面白い。でも実はそれが偽物でないと知ったら楽しくは観られない。バンドという見世物、奇形という見世物、モキュメンタリーという見世物。これらの要素を組み合わせてエンタメとして成立させつつ、テーマとして盛り込まれているのは奇形の人たちに向けられる特異な目や本人たちの葛藤という、偽物ではなく現実に存在している問題。偽物と本物が織り交ざる複雑性に音楽を通して吐露される感情と人間性が重たく響く。映画のテーマと手法が見事にマッチした作品。曲もかっこいいよね。
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