akihiko810

ヴィヨンの妻 桜桃とタンポポのakihiko810のレビュー・感想・評価

3.7
太宰の「ヴィヨンの妻」の映画化、十年ぶりに再視聴。
2009年度キネマ旬報邦画第2位。

才能ある小説家・大谷穣治は小料理屋「椿屋」に酒のつけが2万円たまっていた。12月23日頃に大谷は椿屋から五千円を盗んでくる。そこで妻・佐知は、その件を警察沙汰にしない代わりに椿屋で働かせてもらうことにする。佐知はその美貌から椿屋で人気を得るが、大谷はその人気に嫉妬し、客の一人・岡田と佐知の関係に疑念を抱く。大谷は愛人・秋子と心中を図るが未遂に終わる。

『ヴィヨンの妻』をベースに、他のさまざまな作品の内容を組み込んだ、太宰文学(の中のダメ的側面)集大成。ダメ人間を煮詰めたような主人公を浅野忠信、その献身的な妻を松たか子演じる。
松たか子の存在感はすごい。ダメ夫を無下にするでもなく包み込むでもなくただひたすら寄り添い、懸命に働く。そして働くことで輝いていき、ダメ夫はそれに嫉妬する…。
話のテンポが若干悪いので、前回みたときはそれほど楽しめなかったが、今回は楽しめたので良かった。
私も女性に「生きてさえいればいいのよ」と言われてみたいものである。
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