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君は放課後インソムニアのakihiko810のレビュー・感想・評価

君は放課後インソムニア(2023年製作の映画)
3.7
オジロマコトによる同名漫画を実写映画化。

舞台は能登半島の中心に位置する石川県七尾市。不眠症に悩む高校1年生の中見丸太(なかみがんた)は、学校の使われていない天文台を見つける。しかし、そこには同じクラスの曲伊咲(まがりいさき)という先客がいた。丸太と同じ不眠症で、こっそり昼寝するため物置となっている天文台を使っていた伊咲。不眠症という秘密でつながった2人は、休み時間や放課後になると一緒に天文台で昼寝する同士に。やがて眠ることのできない退屈な夜に街を散歩して仲を深めていく。そんなあるとき、天文台を勝手に使っていたことがばれてしまい、立ち入り禁止の危機に迫られる。

オジロマコトは神漫画家なので、信頼おいてる漫画家の一人。原作も途中までだが読んでいて、かなり好きな作品。
まあ、マンガ原作やアニメ版ほどではないけれど、本作もなかなかよかった。
不眠症を抱える二人の出会いと、心のつながりが、映画の中の短い尺の中でうまく描かれていたと思う。
本作の後半部は、私はまだ原作で読んでなかったのだが、丸太の「所詮は高校生で、病気の曲に対して何もできない」という無力感がしっかりと描かれていたのがよかった。
青春の万能感だけでなく、その裏にある無力感が、人を大人にさせるというか。

漫画原作のキラキラ青春映画のカテゴリーには収まらない、ビターな味わいをみせつつ、最後は青春映画として着地する作品だった。
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