saya

脱出のsayaのレビュー・感想・評価

脱出(1972年製作の映画)
3.8
ダム建設で破壊される前に川下りを楽しもうと都会からきた男性4人は大自然を満喫していましたが、地元住民から銃で脅されるトラブルに巻き込まれ、勢い余って殺してしまうという物語です。
川下りで町を目指すシンプルな内容にも関わらず、地元住民から受ける屈辱的な暴行の衝撃、雄大な大自然の中で急流を下るスリリングな映像の迫力には目を奪われました。
穴さえあれば誰でも良い世界が本当に存在するなんて、子供の頃に見たら間違いなくトラウマになっています。
地元住民を殺してから何度か訪れる決断が全て憶測に基づいたものでしかないうえに、憶測が正しかったのか最後まで明かされないのも実に上手いですね。
仲間が追手に銃で撃たれたという場面にしても、映像では撃たれた様子がないですし、その後で発見された仲間の遺体に銃創を見つけられないことで正当性まで怪しくなってきます。
ようやく助かったと思えても物語にはもう一波乱あるので最後まで落ち着かない状況は続くのでした。
主人公たちの心境と同様に、この映画を観た人の心にも言いようのない不安だけを残して物語は終わります。
saya

saya