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トレインスポッティングのRのレビュー・感想・評価

トレインスポッティング(1996年製作の映画)
4.5
すべてが洒落ている…。
レビューの書き出しだけで5分も迷うほどに、鑑賞後は「オシャ」で頭が埋め尽くされてしまった。
なるほど、これはヴィンテージ系メンズがInstagramでこぞって本作のワンシーンをアーカイブで載せるわけだ(当社比)(個人的主観)。だってかっこいいんだものね(本来は著作権法違反)。

■ “人生の鬱憤ややるせなさを昇華する一種のAV みたいなもの”
言葉を選ばずで大変失礼なのを承知で、私が本作を一言で形容するならばこう。
マークがドラッグに依存しながらも日常の中のわずかな光をチャンスに捉え、最後には大胆な行動を起こすくらいには、この映画にも救いがある。それでいながらも、落ちるときはしっかり落ちて、クズに成り果てる。このワルになりきれない波が、常人には心地良かったりするのだ。
そうやってなんとなくぼんやり自己投影して、くすぶってしまう自分を肯定して、気持ちよくなる。

■画と対照的な音楽
みんな大好きthe worst toilet in Scotlandにて非常に印象的だったのは、その音楽。
きっっっったないことしてるし、もう観ているこちらでさえも吐き気を催してもおかしくない行為の裏で流れるのは、ビゼーのカルメン第2組曲。……!?
一見対極オブ対極といわんばかりのミスマッチのように思えるが、この手法、あのエヴァでおなじみの庵野監督を彷彿とさせる。
戦闘シーンで流れる“翼をください”、きっと音楽によって印象付けられた人も少なくないはずで、本作も同じ現象を私は感じた。
あの深海がトイレの便器の先ではなく、あの遊泳がアヘンの坐薬を探しているためじゃなかったら、本当の意味でぴったりだったな。

■「歳を取るとクソ」
いつだって彼らは分かりやすく言葉にしてくれる。
逆説的に言えば、若さは武器なのだ。
終始クズたちのストーリーだったけど、まだこれからどうにでもなるよって言ってるような気がした。

正直なところ、雰囲気だけでも酔える映画だとは思う。ビジュアルの強いアイドルがダンスや歌に秀でていなくてもさほど引けを取らないように、絵面が強い映画は、その細部を理解できなくとも、楽しいと思えてしまう。
だから私は、今日もこの映画を分かった気になって高評価を付ける。

P.S. 全編通してスタイリングが好きすぎる。私的MVPはスタイリストさん。お洋服の合わせイカしすぎてた🙏🏻
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