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虹の女神 Rainbow SongのBaadのレビュー・感想・評価

虹の女神 Rainbow Song(2006年製作の映画)
5.0
日本映画でこんなに映画らしい映画を観るのは何年ぶりでしょうか。この映画を見る直前まで、週1本はみているニール・ジョーダンのイギリスで撮った作品群と比べて、邦画にはなんとキレの悪い編集のへたくそな映画の多いことよ、と嘆いていたのですが、本当に剛速球級の直球映画を久しぶりに観たという感じです。
映画とは、物語を語る以前に、記憶と時間を語るのに優れたメディアである、ということを改めて思い知らされました。
特に、編集の旨さはすばらしく、ストレートで単純な物語なのに、見終わってからしばらく涙が止まりませんでした。

原案・桜井亜美というのを、原作・~と読み違えていて、小説が原作にしてはずいぶんと上手でこなれた脚色だな、と思ったのですが、あくまでオリジナルの映像作品として撮られたものなのですね。
この世界は活字では表現できないと思いました。

比較的セリフの少ない映画ですが、映像と編集で十二分に物語が語られているので、その少ないセリフでさえ、時には蛇足に感じられました。
劇中で上映される8mmはあおいの気持ちが全部見えてしまうような力のこもった映像で、あそこで全編見せるのは反則技かな、と思ったほど。
学生の自主映画って普通あんなに表現力高くないですよね?筋はありがちだと思いましたが・・・

それにしても、実際にも若い頃はありがちですよね。周りはからよく見えていることなのに、本人たちだけが自分たちの気持ちに気づかないって・・・

見方によっては難しく思える映画だと他の方のレビューを読んで判りましたが、迷っている方には、取り敢えずは、一度は映画館で観ておいたほうがいいよ、とお勧めしておきます。滅多にない傑作ですし、映画館で集中してみた方が見逃す部分が少ないだろうと思いますので。

(初公開時劇場鑑賞)
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