きんゐかうし卿

アラクノフォビアのきんゐかうし卿のネタバレレビュー・内容・結末

アラクノフォビア(1990年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

 



『通好みの演者の共演』

遙か悠久の記憶の彼方、劇場で鑑賞した憶えがあるが、自宅にて何度目かの鑑賞。ベネズエラから始まり、カリフォルニア外れの田舎町カナイマを舞台に、コメディ色の濃いパニック・ホラー。二歳のトラウマ体験から、タイトルの蜘蛛恐怖症を患う医師“ロス・ジェニングス”のJ.ダニエルズ、コメディリリーフである害虫駆除業者“デルバート・マクリントック”のJ.グッドマン、“アーヴ・ケンダール”のR.ブロックスミス等、何気に通好みの配役で、各々の若かりし姿が拝める。CGIに頼らない特撮も見所の一つで、全篇バランス佳く進行するが、物足りなさが残るのも事実。60/100点。

・途中、何度か口元の動きと科白が合っていない箇所があり、アフレコで製作されたのではないだろうか。製作開始当初は純粋なモンスター・パニック・ホラーであった様だが、監督はW.ストリックを呼び寄せ、シニカルでポップな仕上がりをオーダーし、シナリオの改定を重ねさせた。監督曰く、A.ヒッチコックの『鳥('63)』をお手本としたとインタビューで答えている。

・シナリオは撮影後も変更されたらしく、カットされた設定やシーンも多かったと云う。例えば、S.パンキン演ずる“ロイド・パーソンズ”保安官が車の運転中に蜘蛛に咬まれ亡くなるシーンが実際には撮影されたが、本篇でそのシーケンスは丸ごとカットされており、確かに後半、このキャラクターは突然、画面から姿を消し、ラスト迄、再登場しない。

・舞台となる田舎町“カナイマ”は架空の町だが、由来は冒頭のベネズエラに実在するギアナ高地の観光名所で、世界最大の落差を誇る滝、エンジェルフォ-ルの在る国立公園の名称から採られている。

・'14年、米国ミズーリ州にてドクイトグモ約四千匹が大量発生し、余儀無く住民達が転居をする事案が発生した。これを伝えるナショナル・ジオグラフィックによると、ドクイトグモは攻撃性が低く、昆虫を食べる以外の事は殆どせず、滅多に人を咬まず、こっそり忍び寄って人を襲い掛かる様な事もしないと云う。往々にして医師は蜘蛛の咬み傷に対し、実際より重く診断し、大袈裟に扱いがちであり、どうか必要以上に蜘蛛を怖がらないで下さい、貴方の隣人の方が余程危険なくらいですと記事は結んでいる。

・鑑賞日:2019年2月11日(月・建国記念日)