ソン・ガンホ主演の韓国映画。
激動の時代、大統領専属の理髪師となった男のお話。風刺を込めたブラックな笑いも入ったドラマです。
60年~70年代という韓国史でも激動の時代。クーデターで軍事政権を樹立するこの大統領は朴正煕がモデルでしょう。この人はこの前の大統領・朴槿恵のお父さんで日本軍人だった経歴もある。非人道的な取り締まりを強行したりするんですが、いわゆる「漢江の奇跡」と呼ばれる経済発展に寄与した部分もある。功罪ともに多くて清濁併せ呑む複雑なものって印象があります。
その前に李承晩の不正選挙があったり、ベトナム戦争やゲリラ襲撃未遂事件も背景にあるので歴史を大雑把に確認しておくとより面白いかもしれません。
この映画をみてると韓国庶民の政治へのスタンスが何気なく分かる気がします。特に息子の目線でナレーションが語られるのが特徴的。大人たち=一般庶民が時の政権に翻弄されたり、流されるままだったりと。それでも懸命に生きている。ソン・ガンホのぼんやりした男の演技がより強調しているように見えました。
社会風刺的なブラックコメディ的要素も多分に入ってます。北側の青瓦台襲撃未遂事件ではゲリラがゲリるというシュールなアレンジがされてます。展開される騒動や拷問はあまりにバカバカしいんですが、その理不尽さは恐ろしいもんがあります。
歴史や風刺的な要素が多く入ってますが、政治紛争に巻き込まれるひとつの家族の物語としても秀逸です。ラストシーンもなかなかジーンとくるもんがありました。