「主従逆転乗っ取りモノ」なのだがそれだけにあらず。主と従の二人に次第に精神的かつ性的依存が顕になっていく様がつとにエロティック。
生きたカメラワークと、部屋の間取りや鏡(や影、椅子など遮蔽物)などを使った奥行きのあるショットがまことに巧み。パワーバランスが変わる「点」の配置や、蛇口などのメタファー的な描写もまた巧妙。
主従の二人や、主人と恋人などのツーショットの後ろに意図的に肖像画や彫像を立たせるシーンのいやらしさよ。
召使いダーク・ボガードは見た目といい序盤から見え隠れしていた怖さといい、どこか昔のジョニー・デップを思わせる。