チッコーネ

アマロ神父の罪のチッコーネのレビュー・感想・評価

アマロ神父の罪(2002年製作の映画)
3.5
メキシコで大ヒットしたらしいが、内容は不穏な問題作…、19世紀の原作を翻案している。
人間性をとことん封じるカトリックへの批判が優勢、遡れば改宗を強制された民族の末裔が、キリスト教の妄信に至っている姿には、諸行無常の響きあり。
あどけなさと狡猾さが同居する若き神父に批判が集中するのは当然だが、聖職者の生き方を理解したうえで堕落へと誘う女も、相応に向こう見ず。
挙句の果ての犬死は自ら蒔いた種の結実、すべて男のせいだなんて、とんでもない。
また礼拝中に異端の空気を振りまく老女には、中世に魔女と名指しされた女たちの屈折や反骨が凝縮されている。

当時のガエルは人気急上昇中、演じるキャラクターの境遇は、名声と権力を手中に収めつつあった彼の姿と、どこかシンクロする。
マイナスイメージの付着に頓着せず、演出へ全身を委ねる彼の役者魂が見事。