バーナード・ハーマン最後の映画音楽は、かくも洒落たサックスが響くジャズだった。
丸刈りになるデ・二ーロは云う。
腐敗し、臭く、汚れ切ったこんなアメリカに誰がしたのかわからないが、だったら俺が変えてやる。
ハッキリいって無理に決まっている。デートでポルノ映画を観に行くような、クズのような不潔な主人公に、観ている方も全く感情移入できない。
しかし、あまりにもおぞましく、血なまぐさく、激しい彼の行動を見て、言葉を失うのは間違いない。
わざわざ言うまでもないが、本作は、スコセッシ、デ・二ーロ、ハーマン、シュレイダー、チャップマンら才能が結集して作り上げられた、歴史的な、アメリカン・ニューシネマの記念碑的な映画である。
同じ年、「ロッキー」が公開され、オスカーを獲った。
ニューシネマは終わった。