ハム

タクシードライバーのハムのレビュー・感想・評価

タクシードライバー(1976年製作の映画)
3.5
前に観た時は途中寝てしまったのもあって何だかよく分からなかったんだけど、今回2回目観たら少しは理解出来た気がした。

戦争に行って頑張ってきて、もっと国の英雄みたいに称賛されても良いはずなのに、いざ帰ってくれば汚れきった街で、「俺たちは負け犬なんだよ」と言う一回りも二回りも上のおじさん達と同じタクシードライバーの仕事しかないんだから、そりゃ嫌にもなるよね。自分があんなおじさん達と同じな訳ない、こんな所で腐ったままじゃいられない、まだ若いんだし何か成し遂げられるはずだと思う気持ちも凄く分かる。

側から見てれば、どうみてもトラヴィス自身に結構な認知の歪みがあることにすぐ気付けるのだけど、彼自身は精神に異常をきたしている訳で、自分を客観的に見れず何が悪いのかどうしたら状況を変えられるのかを上手く把握出来ない。そこでとりあえず自分が自信のある銃に手を出してしまったのが間違いだったんだろうな。暗殺が失敗した事で結果的には街の英雄になれたけど、取り返しの付かない事になっててもおかしくなかった。ここ最近よく聞く無敵の人ってこうやって生まれるのかな。恐ろしいけど、本人だけを責めれば良い様な単純な問題でもないのが難しい。

ただ新聞に載るほどの英雄になっても、タクシードライバーであることには変わりがないところがまた虚しい。でも英雄として持て囃され、アイリスの家族からも感謝され、彼女も出来たから少しはマシかな。
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