Kou

タクシードライバーのKouのレビュー・感想・評価

タクシードライバー(1976年製作の映画)
3.8
『ジョーカー』が流行ってる今
再注目されている本作、言うなれば
乗るしかないこのビックウェーブに
自分も乗ってみました。🏄‍♂️



カンヌ国際映画祭でグランプリとなる
パルムドール賞を受賞した名作。
でも、古いし「名前だけなら…😅」って人
意外と多いんじゃないでしょうか。



だからこそ。
観る前に知っておいてほしいこと。
それはアメリカにとってのベトナム戦争とは
どのようなものだったのか、ということ。



「戦闘には勝ったが、戦争には負けた」
といわれるベトナム戦争は
アメリカ社会に大きな影響を与えました。

主人公トラヴィスを含めた帰還兵は
英雄として歓迎され、労われます。
しかしそれは一時的なもの。

彼らは、世間知らずで時代遅れの
遺物(異物)として扱われるのです。



社会から居場所を失った者が
孤独と狂気の闇に飲まれていく──
『ジョーカー』と同じく今の現代社会だからこそ
観るべき社会派ムービーに自分は感じました。



とは言っても、内容は正直瓜二つ。
違いはフィクション強めか、
リアリティ強めか、くらいなもんで。
だからこそ、本作なのではの名シーンを抜粋。



名シーンといえば、部屋の鏡の前で、
鏡の中の自分に話しかけながら、
銃を素早く構える練習をする
あのシーンを想像しますが
(ここの「You talkin' to me?
(おれに用か?)」というセリフは、
アメリカ映画の名セリフベスト100の
10位に選ばれているらしいですね)



個人的にはそこよりも
アイリスの部屋で起きた銃撃戦での
トラヴィスの表情に注目してもらいたい。

首を、肩を、至近距離で撃たれた
トラヴィスの顔が本当にインパクト強くて。
真っ白な顔に真っ赤な返り血。
でも、目だけはしっかりと据わってて。



なんの躊躇もなく自らに銃を向けるトラヴィス。
本当に死ぬつもりだったのでしょうね。
でも、弾切れだったので死ねなかった。
だから仕方なく、笑みを浮かべながら
こめかみに指を当てて自殺するそぶりを
警察官にプレゼント。

ここらへんはもう、デ・ニーロの演技と
フィルム🎞の質感もあいまって、
もうね…本当に怖い。



そんな、いかにもヤバいやつの物語として
描いておきながらも、題名が
『タクシードライバー』なんですよ。
(誰も気付かないようなありふれた存在で、
どこにでもいて、誰にでもなれる仕事。
→つまりトラヴィスは特別でもなんでもなくて
誰しもがなりうる普遍的な存在、だということ)



つまり、人は誰しも(こうなりうる)
というのを題名からすでに示しているわけです。
怖い映画だよ、ほんとに。
でも、観てよかったと素直に思っちゃう
作品でもあるのがにくいところだよね。
皆さんもぜひ観て感想教えてください!😁



(おまけ)
最近あった嬉しかったこと。

元カノがジョーカーを観てハマったらしく
2回目を観に行ったんだけど、まあ語る語る。
「ここは〇〇で〜、〇〇なんじゃないか🤔」
「『ダークナイト』ではさ〜」って。

そういうのって映画好きからすると
すごい嬉しいんですよね!
あんまり映画に興味を持たず
観てもラブロマンスオンリーだった人が
「『ダークナイト』はジョーカーもそうだけど、
真に注目すべきはトゥーフェイスだよね」
と考察までしてて感動もの😭
「わかってるね君〜!」と
その日1日上機嫌なおれでした。



(おまけ2)
レビュー欄見たら『ジョーカー』の上が
『タクシードライバー』だったから
たまたま気づけたけど、
パッケージめっちゃくちゃ一緒やね。
ジョーカーとトラヴィスの
構図が対になってるんだね。
背景の黒塗りは『キングオブコメディ』だし。



2019年10月22日 44本目
Kou

Kou