唯

ブロードウェイ・メロディーの唯のレビュー・感想・評価

3.5
歌や踊りが盛り込まれるものの素朴なミュージカル映画である。
パフォーマンスが観客を圧倒するためにあるのではなく、市井の人々と共に楽しむためにある、というスタンスが素敵。
わちゃわちゃごたごたしているが、洗練されていないものの中にこそ魅力がある。

業界の煌びやかさに惹かれ、享楽的で刹那的な世界に染まっていく妹。
しかしそれは、姉の恋人でありながら口説いて来るエディと離れたい気持ちから。
姉に知られまいと真実を隠しながら振る舞う妹の愛が深い。

姉を傷つけまいと遊びに堕ちる妹と妹の幸せを願って恋人を振る姉。
いずれもが嫌われ役を買って出るのだけど、それにまんまと騙されるエディの馬鹿っぷり。

姉妹愛は本物であるが、妹はモテモテでブロードウェイでの居場所を得るものの、姉は誰からも見初められずに旅役者に戻るのがあまりにも現実で虚しい。
唯