nt708

ピアノ・レッスンのnt708のネタバレレビュー・内容・結末

ピアノ・レッスン(1993年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

最近、脚本だけでなくカメラワークや構図の勉強を改めてしようと本を漁っているのだが、どの本にも必ず出てくるのが本作のショットである。そのうえ今年のアカデミー賞にノミネートした『パワー・オブ・ザ・ドッグ』のジェーン・カンピオンが監督を務めているとなれば観ないわけにはいかない。

一番の見どころはやはりピアノだろう。かつての夫の死により話すことができなくなったエルザにとってピアノは彼女の代弁者であり、亡くなった夫との唯一の絆である。そのピアノが新たな絆を生んでは壊していく、、最後にピアノが海へと葬り去られたとき、彼女はかつての夫、あるいはかつての自分と決別し、新たな人生を歩みだそうとしたのではないだろうか。したがって本作はタイトル通り、「ピアノ」が主人公と云っても過言ではないのである。

一方で、本作において重要な役割を果たしているように見える娘の存在が不憫でならなかった。その不憫さは物語の展開から生まれるものではなく、エルザの通訳として物語を展開させるための道具であるようにしか見えなかったことに原因がある。娘に対してエルザたちがどのように振舞っているかが描かれず、彼女が存在する必然性が物語の中身においてあまり感じられなかったのは残念だ。

正直こういう作品をどのように評価したらよいのか、私にはわからない。そもそもジェーン・カンピオンの作品が好みではないということも影響しているのかもしれないが、好みを抜きにしてもこのような作品とどのように向き合ったらよいのかいまいちよくわからないのである。そのへんはぜひ他の方のレビューを見ながら勉強したいものだ。
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