砂場

猟人日記の砂場のレビュー・感想・評価

猟人日記(1964年製作の映画)
4.0
変わった映画好きにはウケそうな、、
まずはあらすじから(ネタバレあり)

ーーーあらすじーーー
■行きずりの男との子を妊娠したことを苦に若い女性が飛び降り自殺
本田一郎(仲谷昇)は、関西の商社勤務。東京出張のたびに若女性をナンパしそれを猟人日記として記録していた。彼の手口はカタコトの日本語を喋る外国人になりすまし外国になこがれている女性の気を引くというもの。
■ある日新聞で自分と関係した女性が殺された記事を読む。その後も美術館で美大生をナンパ家まで押しかけるが拒まれて別の日にまた訪問することにした。
■その頃、サングラスした鼻の横に黒子のある女性があちこちで本田の血液型を聞き出したりしていた。
■以前関係した女友達房子に会いに行くと絞殺死体が。
本田は誰かが自分を嵌めようと関係した女を次々殺しているのではないかと疑い始める。
■本田は関西の家に帰宅。妻の種子(戸川昌子)は自分が性的に不能になったことを夫に申し訳なく思っている。メキシコで一人目を出産したが身体中の骨のない奇病であり金を払って処分してもらった。
それ以来夫婦生活ができなくなっていた。種子はシュルレアリスム風絵画を描くことで精神を保っているように見えた。
■美大生の家に行く約束で訪問すると箪笥に彼女の死体が。下駄箱の自分の靴も無くなっていた家に帰ると猟人日記が盗まれていた。
■容疑者として逮捕される本田。被害者の爪などに本田と同じRH -型の血液型、精液が付着しておりそれが決め手で一審は有罪、死刑判決が出る。
■本田は関西物産の会長の娘種子の婿養子で、会長としてもなんとか本田の死刑を回避する必要があり弁護を畑中(北村和夫)に依頼した。助手は睦子(十朱幸代)
畑中は本田が関係した女たちに聞き込みをする中で全員が彼は
優しかったという証言を得て、本田が犯人ではないと確信した。
また本田の血液型RH -を入手したり、トルコ風呂で本田の精液を採取したりする女の存在が浮かび上がる。


<💢以下ネタバレあり💢>
■証言から鼻の脇に黒子のある女が怪しいと睨む。
ある日本田のアパートに猟人日記が発見されるが一ページ目が切り取られていた。
本田は控訴を取り下げた、、事態を飲み込めない畑中。
本田の妻に会いに行くと、種子は鼻の脇の黒子をクリームで取った。これでお分かりでしょう
女たちを殺し本田の犯行に見せていたのは種子だった。
一ページ目には種子のことが書かれており、本田はそれを思い出し妻を罪人にしないよう控訴を取り下げたのだった
■本田は無罪となり釈放された、種子は精神に異常が見られるということで入院した。
本田は今後何を目的に生きていけばいいのかというと畑中は、口止めされていて誰とは言えないがあなたの赤ん坊を育てている人がいるといい赤ん坊の写真を渡す。
ーーーあらすじおわりーーー



🎥🎥🎥
原作は戸川昌子、本作は読んだことないが戸川昌子というと2000年ごろ扶桑社文庫から復刻した『火の接吻』を読んだ。しっかりした構成の本格ミステリであり面白かった。海外にも翻訳されベストセラーになったとか。
戸川昌子は70-80年代ごろはTVに出てる変わったおばちゃんで歌手とかコメンテーターの印象があって
ミステリ作家として認識してなかったが意外にも端正な本格だった。

この『猟人日記』も本人のキャラとかイメージから愛欲ドロドロ話と思われるかもしれないが骨格はしっかりした本格ミステリだ。
正直いって中平康には向いていない題材だと思う。確かに愛欲場面、イレイザーヘッド風シュルレアリスム的場面があり
そこは中平康タッチが炸裂するが、後半は地道な捜査と謎解きパートなので説明的な場面が多く、中平康っぽさは出しにくい。
一方ミステリとしては面白い、まあ犯人は途中でわかってしまうが、、、

ということで本作は前半と後半でガラリと雰囲気が変わる映画だ。前半は愛欲ドロドロ、シュルレアリスム的で
後半はミステリの解決編という具合。これをチグハグとみるか面白さと見るかは感想が分かれそうだ

冒頭のすぐ死んじゃう役で新人の山本富士子が出てたり、美少年美輪明宏が出ていたりなかなか貴重な映画だ

イケメンではあるけどどう見ても日本人の仲谷昇のカタコトの日本語が、、、、、w
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