sugasan

クエストのsugasanのレビュー・感想・評価

クエスト(1996年製作の映画)
2.5
転落人生のきっかけになった底抜け超大作として必要以上に駄作扱いされるヴァン・ダム初にして唯一の監督作。

スケールの大きな画作りとゴージャスな劇伴、いつもの血生臭さやナルシストぶりは抑え"冒険(クエスト)"のタイトル通りロビンソン・クルーソーのような冒険活劇として描かれる前半はなかなか悪くない。

だが、メインの格闘大会は屋内で行われるせいか途端に面白みのない同じような画ばかりになり、取ってつけたような因縁が生まれたモンゴル代表とヴァン・ダムが決勝に残るのが見え見えな作りのせいでそれ以外の選手の戦いが完全に消化試合となり映画のテンポが急速に悪くなってしまう。

唯一ネームバリューのある格闘家として出演した北尾がなかなか良い演技をしていたので、例えばフランス代表にオリヴィエ・グラナーをキャスティングするなどして各国のアクションスターや格闘家大集合みたいな作りにすればもうワンランク上の完成度を狙えたかもしれない。

ロジャー・ムーアが飄々と演じる海賊ドブスや、自分をコケにした相手ながらもヴァン・ダムの才能に惚れ込みコーチを買って出るマキシーなどそれぞれの登場人物も魅力的なだけに、今後もまともに観たこともない人間に半笑いで失敗作として語り継がれていくのかと思うと非常に口惜しい。
sugasan

sugasan