sugasan

ジョン・ウィック:コンセクエンスのsugasanのレビュー・感想・評価

3.0
チャド・スタエルスキ監督が放つ「ぼくのかんがえたさいきょうのあくしょんえいが」。

ボンクラアクション映画ヲタクなら誰しも一度は経験があるだろう「ドニー・イェンと真田広之とスコット・アドキンスとマルコ・サロール全部出した映画作れよ!誰が1番強いか決めたらええねん!」という居酒屋トークだが、本作はプロが本当にそれで一本撮ってしまった映画だ。

ドニー・イェンはほぼダブル主演と言ってもいい破格の高待遇、真田広之はもちろんのこと、チョイ役と思われたアドキンスやサロールまでたっぷり見せ場を持たせた結果、上映時間はシリーズ最長の169分!長いよ!

正に全宇宙のボンクラが待ち望んだ夢の映画だが、これだけ夢詰め込んだ映画であってもなお「ドニーに比べて真田広之の扱いが悪い」だの「ケインVSジョンは格闘で決着つけろよ」だの無限に文句が沸き出てくるのだから、アクション映画ヲタクの欲望は底なしと言えよう。

本作は今の所ジョン・ウィック最後の物語になると思われ、世界殺し屋バトルロイヤルみたいな映画になってしまったシリーズを嫁さんや娘に対する家族愛に帰結してギリギリ軌道修正に成功した感はある。

が、とにかくアクションの物量が半端ないのでもはやストーリーがどうだったかはほとんど記憶に残らない。

最初の見せ場である大阪コンチネンタルのアクションは並の映画ならクライマックスでやる物量と長さで、さすがに「この映画おかしくないか?」と思い始めるが、その後もどうかしている物量と長さのアクションはひたすら続いていく。
いくら大好物でも無限に食べられるわけじゃないぞ。いいかげんにしろよ(でもそれはそれとして出されたものは食う)。

パリパートのカプコンかSNKのベルトスクロールみたいなアクションやドラゴンブレス弾は序盤なら笑いながら見れたかもしれないが、長過ぎる上映時間と尿意との戦いに疲弊した身には大変申し訳ないが「早く終わんねえかな」とちょっと思ってしまった。

ジョン・ウィックの、車に何度轢かれても、三階くらいの高さから落ちても絶対に死なない異常なタフネスももはやギャグ。
異常なタフネスを裏付ける防弾スーツを脱ぎ捨てた結果あっさり死んで平穏を手に入れたジョン・ウィック。
よくあるエンドロール後に生存を匂わせるCパートもなかったことから本当に死んでしまったのだろうか。

ロシアンマフィアのドラ息子が犬を殺してしまったばっかりに始まった『舐めてたキアヌがババヤガでした』サーガ。
本来アクション俳優でもなんでもないのに身体を張りまくったキアヌとアクション映画の新たなスタンダードを作り上げたスタッフにお疲れ様と言いたい。

あと、ダカスコスとアドキンスを高待遇で迎えてくれてありがとう。
ボンクラの1人として、チャド・スタエルスキ監督のことは忘れないよ。
sugasan

sugasan