みんと

みじかくも美しく燃えのみんとのレビュー・感想・評価

みじかくも美しく燃え(1967年製作の映画)
5.0
ず~っと観たくて堪らなかった作品。
ただひたすらうっとり、美し過ぎる映像に浸りきった。
不倫だとか浅はかだとか、そんな次元を余裕で超えて視覚がとにかく喜んでる感覚。

1889年、スウェーデンで実際に起こった心中事件を基に映画化された今作品。貴族で妻子を持つシクステンとサーカスの綱渡り芸人エルビラの身分違いの愛の逃避行が儚くも美しい。

ものすごくシンプルでわかり易い悲恋をこうも美しく刹那的に描ききる。まるでうたかたの夢のようにも、引いてはあの世のようにも思えたり、、、
もはや凝った仕掛けなんて全て排除してただただ画力で待ってった印象すら。

現実を捨てただ愛に生きる前半のキラキラ感、しがらみ全てをとっぱらって愛に生きるのも悪くないなって、、、
そして破滅を辿る後半でさえ、こんな愛があったって良いじゃないかって錯覚してしまう。

勿論、モラルに沿った愛が正しいに決まってるしそんなの当たり前なんだけど。

主演二人がとにかく魅力的。ビジュアルが完璧。特にエルビラを演じたピア・デゲルマルクのコケティッシュさアンニュイさったら!(口元のホクロも堪らず私の中で堂々上位に入る好きな顔の女優さん)

また優雅でソフトフォーカスされた映像に重ねる滑らかなモーツァルトの調べはまるでおとぎ話の世界の様でもあり、終始夢見心地にさせてくれる。

私の中で稀にストーリーど返しにして感覚が喜ぶ作品があるのだけれどまさにコレはそれ!
詩的なタイトルにうっとりする映像、更には痺れる程のラストと その憎い演出、もうそれだけで満足!
みんと

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