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ダンボのKuutaのレビュー・感想・評価

ダンボ(1941年製作の映画)
3.7
実写版の予習。1941年公開作品。ファンタジアとピノキオが興行的にコケて、低予算で作られた作品。作ってる側も自信あるんだろう、何度も出てくる水の表現が凄い。

ダンボ初登場時の赤ちゃんっぷりがあまりに可愛く、自然と親目線で見てしまう。自分の耳を踏んづけて何度も転ぶ姿は人間の赤ん坊がハイハイしているよう。バカにされいじめられているのを分からないまま耳を振って応じてしまうダンボを守ろうと、母親は周囲を傷つけてしまう。

象の組体操で旗を振るよう指示されて失敗→ピエロ(社会からドロップアウトした見世物)として化粧させられ惨めに旗を振る羽目に。涙を使って石鹸で体を洗うのが切ない…。有名な親子の再会シーンでは、セリフもないのに鼻だけで親子の愛情を描き切る。擬人化した蒸気機関車も良かった。

コンプレックスを持ったキャラクターが不条理な差別に苦しむも、最後はそれを強みに変えて現実を乗り越えていく。まぁ、要はみにくいアヒルの子である。

徹底的に前向きなティモシーはモンスターズインクのマイクの様だった。寝ている団長にサブリミナルでダンボの起用を吹き込む、セルフエコー「ダンボゥ…」が可愛い。

黒人のようなカラス(なんと名前はジム・クロウ!)と忌み嫌われるネズミ。テントを張るのは黒人労働者であり、観客は白人しかいない。マイノリティが受けてきた辛さを溜めに溜めて、ダンボは飛び立つ。生きるか死ぬかの瀬戸際でのティモシーの必死の励ましがまた泣ける。全てがラスト3分のためにある映画、というかその前のトリップシーンのせいでだいたいの内容の記憶が吹っ飛ぶ。

ラストの詰め込みっぷりが低予算の現れ?当時はアニメーターがストライキもやっていたらしく、給料の引き上げを交渉しようとする団員の姿も。戦時中だからか、Dumbombersという戦闘機まで出てきてちょっと笑えなかった。75点。
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