ブタ野郎

ボビー・フィッシャーを探してのブタ野郎のレビュー・感想・評価

3.6
すげぇ良かった

とりあえず見終わった後の清々しい余韻が素晴らしい。

序盤でチェスに魅入られてからチェス尽くしの画面でテンポがめちゃくちゃ良く思う。
主人公であるジョシュを襲う大人の執着や勝負事特有の勝ちと負けのプレッシャー等々で物語のテンションを落としてからのチェスに対してやジョシュの性格を肯定していくベタな展開が気持ちいい。
すこぶる健全な映画という感じ笑

だからこそ個人的にはちょっと物足りなさもあった。こういった競技を題材にした作品だと勝ちと負けの世界へ入るおよそ人間離れした狂気やカリスマ的な雰囲気が好きなので少しのほほんとあまり映画内自体には入り込まずに見てしまった。単純に好き嫌いやハマらなかっただけなので、この映画はこれで良い。
特に主人公の眼差しや闘争心はあまり感じられない豊かな性格がすごいグッときた。
最後の引き分けの提案はジョシュという映画内キャラクターをより好きになれる展開で最高。しっかりその後決着もつけてヘイトも発散するし、嫌味がない勝ち方でうまい。

チェス題材の作品はあまり見ないので、それを踏まえて古い作品ではあるもののフレッシュさは感じた。映像自体にはそこまで引き込まれるものはないけれど、ジョシュの瞳の美しさやチェスと時計の音が耳心地よくて総合的に癒される。

周りもそこまでジョシュをどうしてもどうこうしようという明らかな悪いヤツがいなくて平和。緊張感はあまり無いけれど、子供や妊婦といった絶対壊してはいけないという存在が主役で、人が死んだり策略があると見ていて危険度が跳ね上がり疲れるのでこういったダークな部分もあるけれど先に平和が分かりやすく見えるものは純粋にみて楽しめるのが強み。

みれて良かった。暖かさを感じる良い映画。
ブタ野郎

ブタ野郎