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ボビー・フィッシャーを探してのmomokaのレビュー・感想・評価

4.0
チェスというと自分の中で勝手に優雅なゲームというイメージがあった。しかしながら、「一生をかけるものにとっては学問だ」という本作中の言葉がまさにチェスの真髄を捉えてると、作品を観終わり感慨に浸った。

ただ主人公である少年ジョシュがチェスで勝ち進んでいく姿に焦点を当てるのではなく、彼をいちばんに考え支え続けた両親の愛や、彼を最後まで見守り続けたコーチの愛がしっかりと描かれていたので、チェスのルールを全く知らなくてもそれらの感情に触れるだけでこの作品を楽しむことができると感じた。

ジョシュのことを傷つけたコーチを自宅から追い出した母親や、彼に期待しながらもスランプに陥った時に、チェスをやめていいよって言える父親。そうした温かい環境で育つことが出来たのは本当に恵まれているなと思った。親が子供に過度に期待するあまりに、子供が潰れてしまったりするのはどんな競技の世界でも多々あることだ。
また、一度はジョシュを見放したかと思ったコーチがちゃんと彼のことを想い続けており、大会の際に寄り添っていた姿も教え子への責任をしっかり全うしていたのだと考える。

個人的には、公園で出逢ったヴィニーとジョシュとのやり取りが好きだった。チェスってとても熱くてカッコいい戦いなんだな。

ラストもハッピーエンドで、温かい気持ちにさせてくれた。ジョシュという人物の魅力が溢れた作品。
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