ウシュアイア

ベルリン・フィル 最高のハーモニーを求めてのウシュアイアのレビュー・感想・評価

4.5
<ドキュメンタリー映画特集①>
2009年01月11日鑑賞

世界屈指のオーケストラベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の2005年の東アジアコンサートツアーを追いかけながら現音楽監督サー・サイモン・ラトルと楽団員達の素顔に迫る異色のドキュメンタリー映画である。

巨匠サイモン・ラトルの素顔だけでなく,十把一まとめの複数形で語られる多い個々の楽団員にもスポットをあてているところが興味深い。オーケストラというと,独裁者のような巨匠が楽団員を引っ張っていくというイメージだが,オーディションによる新メンバーの楽団員だけでなく首席指揮者すらも楽団員の投票で決めてしまうという,何とも民主的な楽団なんだろうか。

そして,100名を超える楽団員はどれも一癖も二癖もある面々ばかり。どうやって一つの楽団としてまとまっているのだろうと不思議に思えるくらい楽団員達の音楽に対する考え方から人生観は人それぞれ。

印象的なのは,古株コンサートマスターの
「私が(この楽団の)伝統。カラヤン時代からいるからね。」の一言。
しかし、彼らに共通するのは確かな演奏技術と音楽に対する情熱。
ツアー先の雑然としつつも秩序ある東アジアの街の風景がまさにこのベルリン・フィルにオーバーラップしていた。
こうした個性豊かなオーケストラをまとめるサイモン・ラトルの苦悩もよくわかる。

そして,この伝統ある楽団に日本人の団員が3人も在籍しているのは驚きだ。
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