KnightsofOdessa

セレブレーションのKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

セレブレーション(1998年製作の映画)
4.1
No.927[揺れる手持ちカメラで描く曲者一家の終焉] 88点

ドグマ95という活動があるのだが、これみよがしな”俺凄いだろ”感というか”俺は最先端だぜ”感がヒシヒシと伝わってくるので非常に苦手としている。しかし、今回ばかりは食わず嫌いはいけないことを思い知った。

デンマークの上流階級の一家が家長ヘルゲの還暦祝いに別荘に駆けつける。長男クリスチャンは未だに独身でナヨナヨしており、次男ミケルは出禁になったはずなのにキレながらやってくる。長女ヘレーネはクリスチャンと双子なのだが、彼女も未婚で恋人の到着を待っており、次女リンダは少し前に自殺している。混迷を極める一族の崩壊を描いているのだが、人物設定がわかりやすいし、ミケルのバカっぽい感じが堪らない。「スリー・ビルボード」のサム・ロックウェルを思わせる単純かつ直列つなぎ発想の男で(顔はベン・メンデルソーン似)、仕事を得るために窮屈そうにバカやってる姿は非常に笑える。

やはり注目するべきなのはドグマ95なのだが、本作品はドグマ95の中でも黎明期に最も成功した映像の一つであるので、ドグマ95作品である必然性がある。かなりアクロバティックなショットやカット割り、人物の感情すら伝わってくるカメラの振動には心を打つものがあった。

ただ、断罪された父ヘルゲに匹敵する強烈な傍観者だった母エルセが特に何もなく放置されるのはどうなのだろう。これからもヘルゲに張り付いててもらうというのが彼女にとっての罰なのだろうか。

追記
是非とも日本でDVDを出して欲しい快作だった。