シネラー

13日の金曜日のシネラーのレビュー・感想・評価

13日の金曜日(1980年製作の映画)
3.5
ベタな映画チョイスだとも思うが、
本日が13日の金曜日なので
シリーズの記念すべき第1作である
『13日の金曜日』を再鑑賞。
シリーズの原点でありながらも、
内容としては後のシリーズとは逸脱した
異色作とも言える作品だと思う。

物語としては単純であり、
数名の若者達がキャンプ場
クリスタル・レイクに訪れるも、
次第に一人また一人と殺害されていく
古典的ホラー映画となっている。
殺人鬼ジェイソンが登場して
事件を起こすスラッシャー・ホラー
なイメージが強いシリーズだが、
原点である本作はサイコ・サスペンス色
の強い内容となっており、
得体の知れない存在による恐怖という
ものが一際出ていると思う。
殺人鬼の一人称視点は、
王道ながらも絶妙な不安感が
感じられて良かった。
更に言えば、
ベッドの下やトイレの暗がりに
実は犯人が潜んでいたという状況が、
冷静になった時に一層怖いと思う内容だった。
そして、
シリーズ初見でホッケーマスクを被った
ジェイソンが出る映画だと思って鑑賞すると、
本作は意外な顛末だと言えるだろう。
そんな中でのジェイソン登場場面は
今でも身構えてしまう位の場面であり、
子どもの頃に観ていたら
確実にトラウマな場面だ。
(個人的に本作を初見した際は、
既に真相や結末を知っていた為に
内容の意外性が皆無で残念だった。)

しかしながら、
僅かな前振りがあるとは言え
殺人鬼の正体とその登場は唐突に思う。
加えて、仕事人のように
若者達を襲っていたのが、
最後の一人との対決になると
詰めが甘い上に反撃されるのには、
それまでの恐怖感も薄らいで笑ってしまった。
又、映画のテンポが遅いのは否めず、
男女の性的場面がカットをまたいでも
長々と続いていたり、
場面自体が不要に長いと感じられた。

正体不明な殺人鬼に襲われる恐怖感は、
後のシリーズでジェイソンの
キャラクター性から薄らいでしまうが、
本作にはその恐怖感が特出的に出ている
作品なだけに良かった。
古典的なホラー展開とサスペンス色が
強いシリーズの原点だ。
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