柏エシディシ

ゴーストワールドの柏エシディシのレビュー・感想・評価

ゴーストワールド(2001年製作の映画)
5.0
22年前に観てからというもの、心に刺さったまま抜けない棘の様な、特別な一本。
当時は、恵比寿ガーデンシネマでしたね。
まさかのリバイバル上映。
あの頃イーニドやレベッカだった自分は、すっかりシーモアになってしまった。
来る筈のないバスには、まだ乗れていません。

多くの人にとって大切な映画であることは間違いなく、パンフレットの執筆陣の筆はどれも前のめりだ。
みんな心の隅っこにゴーストワールドを住まわせて生きてきたんだなぁ…
今の若い人たちはどう観るのか?
スマホやSNSで容易にヒトと繋がる(気がする)今の時代、インスタントに承認欲求を満たせる世代にはイーニドの憂鬱やレベッカの焦燥は、共有されるのだろうか。
それでもやっぱり、シーモアみたいな自分やノーマンの様な人も、変わらずこの街の何処かは暮らしていて、この映画はそんな私たちに寄り添ってくれる。これからも。

昨今の所謂"ポリコレ"に関して改めて考えさせられたりもするし、今更ながら可愛すぎる衣装の数々がメアリー・ゾフレスのお仕事だと知ったり。
スカーレット・ヨハンソンとソーラ・バーチのその後のキャリアにレベッカとイーニドを重ね合わせつつ、このところソーラ・バーチの名前を見かけることが増えてきた事に嬉しく感じたり。
ブラッド・レンフロのことを思い出して胸を痛めたり。

懐かしい大切な映画に改めて触れることの多かった2023年。
本作にトドメ刺された感じだ。
柏エシディシ

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