ShinMakita

サラの鍵のShinMakitaのレビュー・感想・評価

サラの鍵(2010年製作の映画)
3.0
☆mixi過去劇場鑑賞レビュー転載計画(フォロワーさんに便乗編)
…zaokaさんに便乗。2012年1月4日 テアトル銀座で鑑賞。





2009年、パリ。アメリカ育ちの女性ジャーナリスト、ジュリア・テザックは思春期の娘ゾーイと、夫ベルトランと幸福に暮らしている。ベルトランは最近、テザック家が60年以上前から所有していたアパートの改築に乗り出し、転居するつもりでいる。その完成を待ちわびながら、ジュリアは新たな特集記事の取材を開始した。ネタは1942年の<ヴェルディブ>に関するものだ。

<ヴェルディブ>とは、当時パリのど真ん中に建っていた屋内競輪場。42年7月、フランス警察がパリ市内のユダヤ人1万人以上を検挙し、この競輪場に押し込めたのである。トイレも満足な食事も許可されず、汚物と死体の中での生活を余儀なくされたユダヤ人たち。その困難は想像を絶するものだった。とあるアパートで暮らしていたストラジンスキ一家も、無理矢理ここに連行されてきたユダヤ人家族。少女サラ・ストラジンスキは、連行直前、警察に見つからないようアパートの納戸に幼い弟ミシェルを隠し、鍵をかけてしまっていた。「必ず迎えに戻るから、ここで待ってて」・・・ミシェルにそう言い聞かせたものの、一家は何日も<ヴェルディブ>に閉じ込められてしまう。そして、身も心も限界に達しかけた時、サラたちはやっと外に出される。しかしそれは釈放ではなく、新たなキャンプへの移送であった。新たな収容所に放り込まれ、両親とも離ればなれになってしまったサラ。納戸の鍵を握りしめる彼女は、収容所を脱走し、アパートに戻ってミシェルを救出する決意を固めるのだった。

ジュリアは、取材中に、テザック家のアパート購入が1942年8月であったことを知る。アパートはユダヤ人が多く住んでいた地域。もしや、私たちがこれから住もうと思っているアパートは、以前<ヴェルディブ>に連行されたユダヤ人のものだったのではないか?そんな疑問を抱いた彼女は調査を開始。アパートの住人が「ストラジンスキ」という一家であったことを突き止めた。しかし、父母がアウシュビッツに送られた記録はあるものの、サラやミシェルがどうなったのかは不明だ。ジュリアはベルトランの父に連絡を取り、以前の住人サラ・ストラジンスキを知らないかと尋ねるが・・・



「サラの鍵」




いやー、これはエクセレントでした!あえてテキトーなアラスジにしておきましたが、どうなるか気になるでしょ?これは必見です。2009年のジュリアによる「サラ探しの旅」と、1942年のサラによる「ミシェル探しの旅」が交互に描かれ、見事な過去と現在のリンクを果たすのです。脚本が素晴らしいですよ!また、<ヴェルディブ>内や収容所内の俯瞰ショット、手持ちカメラなど、カット割りも非常に手が込んでいて、目が飽きません。ただ、サラのリンゴと鍵を守ってしまう看守や、毒指輪のユダヤ人など、「伏線か?」と思えるキャラが特に何の役割も担っていなかったのが残念でしたが・・・ま、そんな瑣末なことは置いといて、絶対に観るべき一本と断言しておきましょう。
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