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博奕打ち 総長賭博のFutosiSaitoのレビュー・感想・評価

博奕打ち 総長賭博(1968年製作の映画)
4.2
 日の丸から始まる冒頭には驚いた。満州の利権もからんだ策謀が、主人公たちを追い詰める。
 さすが、笠原和夫の脚本だ。
 ヤクザ映画と思って観たらおやっと思った。、冒頭に原爆のキノコ雲が写る『仁義なき戦い』を思い出した。
 社会背景や、時代背景をさっと見せるところが巧い。
 そのあとからは、古い日本の「任侠」側が主人公の鶴田浩二と若山富三郎で、仁義を欠いた側が金子信夫らという構図で進んでいく。
 後に山田太一が『男たちの旅路』で鶴田浩二を起用したのも頷ける。
 朴訥だが芯の強い男、まずは話し合いをしたり、筋を通してうまくまとめようとするのだが、事態はそうはいかない。
 そこで、情動があふれ出す。
 いやー、かっこいい。
 三島由紀夫が絶賛したからというのではなくても、任侠映画の頂点であることは間違いない。

 藤純子がまたよい。「緋牡丹お竜」シリーズの前で、ちょっとぽっちゃりしているのが、うぶな感じでよい。
 実録路線の乾いたヤクザ映画に至る前の、代表作だ。
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