伊達巻

アワーミュージックの伊達巻のレビュー・感想・評価

アワーミュージック(2004年製作の映画)
4.2
一回目、良かったという感想はあれど何が良かったのかまるで分からんくて一応二回観た。感想は変わんないけど大切に反復したい映画だと思った。ゴダールの映画の中で最もわかんないよって言いたくなる映画だったけど一方でこの誠実さを裏切りたくないという気持ちにもなる。開始早々延々と刻まれていく戦争のモンタージュ〈地獄〉。言葉を紡ぐ会話と、その言葉の解体が同時に行われていくように思えた〈煉獄〉。そして目を瞑って〈天国〉へ。分かりそうで分からない、というか思考が足りていない。ようやく切り返しの映画だと気付かされて、忘れていた数々のイメージが蘇ってきたりする。デジタルは映画を救うか?逆光で何も見えないゴダール視点の講義は辺り一面覆い尽されんばかりの笑い声にかき消され、この質問には答えない(答えられない)。たとえ思想のためといったって戦争は戦争である。言葉を持つもの持たないもの、詩を知るもの知らないもの。観終わってこのタイトルを思い出して少し泣きそうになる。きっと何回も観ることになる映画。
伊達巻

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