竜平

おくりびとの竜平のレビュー・感想・評価

おくりびと(2008年製作の映画)
4.0
ひょんなことから「納棺師」の職に就く元チェロ奏者の男が、やがて仕事を通して他人や知人や自身の人生と向き合っていく、という話。生と死にまつわる邦画的ヒューマンドラマ。

主演が本木雅弘で、広末涼子や余貴美子や山崎努、杉本哲太や笹野高史など味のあるキャストが脇を固める。元々は全く異なる職についていた主人公が、遺体の「旅立ちの手伝い」という納棺師の仕事、つまりはこれまで触れてこなかった世界に入ることから巻き起こっていく様々なエピソード。てか今作で初めてこの職業のことを詳しく知ったって人は多いはず、俺もその一人。で悲しい話がメインとしてあるんだけど、ユーモアを交えて描いてくれる、作品通しての微笑ましさと温かさが良き。遺体に対する所作のまた美しいこと。こーゆーのは日本独自のものだよねきっと。この職業に対する周囲の目とかもじつはあって、地元の友人や妻などの間で揺れる主人公の葛藤のドラマも見どころ。これも、わるい意味でなくわりと軽めなのが良かったり。あと、体温が恋しくなってか家に帰って妻を無我夢中で抱いてしまうシーン、ケンタッキーにむしゃぶりつくシーンなど、誇張も含めた対比的な描写の数々がじつはおもしろい、とまぁこれは見てのお楽しみということで。

難しい描写やらキツいシーンもなく、とにかくわかりやすくて見やすい。生と死が題材なんだけど、重厚なものを求めてる人には思いのほか物足りない感じで見終わってしまうかも。いやしかし個人的には、これまでにも何回か見てるんだけど毎度泣いてしまうんだよなと。主演のモッくんの演技もね、リアリティーとかでない良さがあって好きなんだよなーなんて。久石譲の音楽も素敵。そんなこんなでそのうちまたふと見たくなるであろう良作。人生、何が残るだろう、何を残せるだろう、なんてね。
竜平

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