これは凄い。
壮絶の一言。
一度は観ておくべき物語。
誰かの評で
「これは本物の、しかもうんと上質の冒険物語」
というのを見た。なるほど確かにな、と何だかすごく腑に落ちる。
地味なところでキャスティング、そして演技指導も素晴らしい。
その一方で、映画全体を覆う重苦しさ。
実話が元になっているから、それでいい。
それでいい。がしかし、鑑賞していてとても辛く、腹が立ち、陰鬱になってくるのも事実。
もちろん「ハッピーエンド」ではある。
しかしながら、不治の難病に立ち向かう闘病の実話が元であるが故の、ある種の“弊害”とでも言おうか、
いわゆるよくあるサクセス映画のような、ラストには全てが解決し全てが完璧に何の問題もなくカタルシスを迎える、といったような大団円とはいかない。
ある立場から見れば、払った犠牲は大きい。なくしたものも少なくない。
しかしそれによって生まれたものがとてつもなく大きなものであることも事実。
だからこそこの物語は珠玉で、一度は観ておくべきだと思うのだが、鑑賞するにはかなりのエネルギーが必要だった。
【このシーン】
財団トップ夫婦との食事会でのオーギュストの感情を押し殺した長台詞
理性と感情の平均台を、絶妙にバランスを取りながら、バランス良く踏み外しながらわたっている感じが伝わってきます。
