どいたま

震える舌のどいたまのレビュー・感想・評価

震える舌(1980年製作の映画)
3.8
Jホラーが観たくなる時期なので、何か観たことがない良作はないかとググってみたら、いくつかのレビューサイトでお勧めされていた本作に行き当たりました。
なるほど確かにこれは怖かったです。

怖いといっても幽霊とかお化けの話ではなく、<破傷風>という病気をリアルに描いている作品です。

<破傷風>という病名自体は何となく聞いたことがありましたが、ここまで怖い病気だったとは。

本作は、破傷風に感染した娘の両親が主人公です。破傷風の症状により音や光に敏感に反応して痙攣を起こしてしまうため、真っ暗な病室内で付きっ切りで看病する中で疲弊していきます。
(痙攣を起こすと自らの意思で抑制が効かず、舌を噛み切ってしまったり自ら背骨を折ったりしてしまうため、痙攣を起こさないように細心の注意を払って看病する必要があります)

本作で一番怖かったのは、両親の精神状態の変化がとてもリアル描かれていたことです。
娘から自分にも感染しているんじゃないかと気が気でなくなってしまったり、そんなことを考えて娘より自らを優先している自分自身が愚かしく思えてきたり、ついには耐えかねて娘のことを諦めてしまったり、両親の置かれる精神状態がとにかく見事に描写されています。

自分も同じ状況に置かれているような気持ちになり、胸が締め付けられるような感覚さえ覚えました。

また、娘の痙攣描写や父親の見る悪夢の描写など、明らかにホラーの文法で描かれているのが本作の凄いところ。ホラー好きの方なら間違いなくお気に召すはずです。
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