どいたま

ちょっと思い出しただけのどいたまのネタバレレビュー・内容・結末

ちょっと思い出しただけ(2022年製作の映画)
4.9

このレビューはネタバレを含みます

私のドストライクジャンル、『倦怠期夫婦・カップルモノ』の中でも屈指の一作!
このジャンルの中での好き度はNo.1!

大学時代に『ブルーバレンタイン』を観て「こんなに愛し合っていても夫婦って壊れていくんだ」ということに衝撃を受けまして。それからというもの、このジャンルの映画を貪るように観て男女に関する色々なことをお勉強して参りました。

ただ、2021年『花束みたいな恋をした』が公開された頃に私の実人生でも男女にまつわる一つの転機がありまして。しかもそれが『花束みたいな〜』と重なる重なる。
「麦くんは俺だ」と自分に重ねてかつてないほど熱を入れて鑑賞したので楽しんだのと同時に、感情移入し過ぎて意気消沈してしまいまして、このジャンルの映画、ひいては映画自体を観る熱が急速に萎んでおりました…。

そんな中でしたので、このジャンルの映画を鑑賞するのは今回約3年ぶりでした。
「完全にノックアウトされたらどうしよう」という不安を抱えつつ鑑賞しましたが、不安も束の間、この映画は予想をいい意味で裏切ってくれました!

このジャンルで感じる絶望感は薄め。
代わりに照生くんと葉ちゃん2人の時間を優しく温かい気持ちで回想する。自分の過去を優しく「思い出す」ような感覚で鑑賞できました。

新しい時間から過去に向かって定点観測的に振り返っていくという構成が、頭の中で過去を振り返るときの流れと近いからなのかもしれません。あの2人の過去が自分の過去であるかのように、自分の思い出であるかのような感覚で映画を振り返っています。

池松壮亮さん、伊藤沙莉さんの演技も素晴らしい。2人とも今までのどの役よりも好きになってしまいました。

今となっては苦い思い出でしかない過去であっても、「そういえばあんなこともあったな」とか「うまくいかないこともあったけれど、あの時はあの時であの時なりに楽しかったな、頑張ったな」と振り返ってもいいんだと言ってくれるような、そんな優しさすら感じさせてくれる映画でした。

この映画、大好きです。

もういっそのこと、ラストで2人がまた結ばれて欲しかった!からマイナス0.1点です。
#関西弁のあいつ、お前のことよく知らんが葉ちゃんを本気で幸せにしないとぶん殴るぞ……
どいたま

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