どいたま

残穢 住んではいけない部屋のどいたまのレビュー・感想・評価

3.9
Jホラー観たい欲が高まっていた中、知人が本作のレビューをfilmarksに投稿していたのをきっかけに、鑑賞してみました。

前評判をあまり聞いておらず、それほど期待をしていなかったのですが、思いの外引き込まれてしまいました。

本作は、怪談話を執筆する作家である私(演・竹内結子)が、大学生の久保(演・橋本愛)から聞いた怪談話に興味を持ったことをきっかけとする物語です。
その怪談話とは、「一人暮らしの自宅であるマンションの一室で物音がする」というもの。この小さな怪談話の原因を探るため、私は追跡調査を開始します。
前の住人の調査に始まり、同じマンションの別の部屋の調査、そのマンションが建つ前の住人の調査…と調べれば調べる程謎は深まり、それに応じて調査の規模も大きくなっていきます。
主人公の私は興味深い事実が明らかになる度にどんどん調査に前のめりになっていきます。しかし、調査に夢中になる余り、いつしか私は深い深い穢れの中に身を投じてしまっていたのです。

この映画、説得力のある《穢れの連鎖≫を描くために、周到に用意されている背景設定が見事だと思いました。

特にマンションの土地を巡る地主の代替わりにまつわる設定は絶妙にリアルで説得力があり、知的好奇心を刺激されました。そのため、主人公が調査に夢中になるのと呼応して、私自身もぐいぐいとこの映画に引き込まれました。

この設定に引き込まれたからこそ、「いつのまにか取り返しのつかない所にまで足を踏み入れていた」と気付いた時の「やってしまった感」を心の底から体感することになり、身震いする思いでした。

後から考えると多少納得のいかない描写はあるものの、期待値以上に楽しむことができたので、満足しています。
どいたま

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