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天使の涙のRyuのレビュー・感想・評価

天使の涙(1995年製作の映画)
3.7
殺し屋の男とパートナーの女エージェントは私情を持ち込まないことを流儀としているが、女は彼に想いを寄せている。殺し屋は街で、ちょっとぶっ飛んでいる金髪女と出会い、身体を重ねる。一方、口がきけない青年 モウは閉店後の店を勝手に使い、求めていない客に無理やりサービスを提供する という無茶苦茶なことをしていた。そんなモウは、失恋しても男のことが頭にいっぱいの女と出会い、恋に落ちる。

当初は「恋する惑星」のひとつのエピソードであったが、ひとつの作品として製作された作品だそうです。
ウォン・カーウァイの作品は「恋する惑星」に続き、まだ2作しか観てませんが、本当に映像がスゴい。今作は「恋する惑星」よりも映像的にも物語的にも暗いものになっていて、夜の香港の街がまぁ映える映える。恋の“陽”を全面に出した「恋する惑星」と恋の“陰”を描いた今作。金城武演じる役名がどちらも モウ だったり、期限切れのパインの話だったり、繋がりが見受けられますね。
今作のモウはかなり滑稽なキャラクターになっており、暗い雰囲気漂う今作とはミスマッチかと思いきや、なんでかよくわからんけど合うんですよねー。めちゃくちゃクールな殺し屋との対比になるのも、合うと感じる理由のひとつなのかな?
出てくる3人の女性が全員ぶっ飛んではいるんだけど、それぞれ違う魅力があってイイんですよねー。特にエージェントのミッシェル・リーよ。整いすぎた美しいお顔、女エージェントとかいうカッコよすぎる役柄。ここまで出来上がった人が顔も知らぬ殺し屋に想いを寄せる姿、自慰行為まで見せてしまうかざらなさ。これらがあるからラストはより切なさ募ります。
愛する人を失った2人がバイクで駆け抜けるラストは、切なさ、カッコよさ、美しさ、色んなものがカンストした素晴らしい終わり方だったと思います。
理解できない部分もあったりするけど、この唯一無二の映像や演出はクセになります。映像の魔術師ウォン・カーウァイ。まだまだ未開拓ですが、他の作品も観ていきたいと思います。
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