奈菜子

天使の涙の奈菜子のレビュー・感想・評価

天使の涙(1995年製作の映画)
3.8
「今日すれ違う人の中に将来の親友がいるのかもしれない」
期限切れのパイン缶
銀の糸のような雨
曇りガラス越しのネオン
ウォンカーウァイ監督特有の、濃厚な夜の匂い
「恋する惑星」と同じく、登場人物による自分語りによって進んでいく、兄弟のような作品でした
香港の夜を歩く若者たちは、色っぽくて訳ありで孤独でクレイジー
特別で複雑な感情を抱き合う殺し屋とそのパートナーは、顔を合わせることなく仕事をこなし続け
口の聞けない子どものように無邪気な青年は雑踏の中に将来の親友を見ている
彼らは皆まだ見ぬたったひとり、自分だけのパートナーに片想いしているよう。
皆が失恋をして新しい相手をみつけていった「恋する惑星」とは、似ているけれど全然似ていなくて、でもきっと同じ地面を歩いているんだと思います

突然流れ込んでくる音楽やストップモーション、目まぐるしくかわるカメラワーク、瞬間ごとの画がPOPYEの1ページのようにお洒落で惹きこまれました。大好きです。
金城武の微笑みはやっぱり甘いし、彼は世界で一番のコンバースの履きこなしかたをきっと本能的に知っています
奈菜子

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