「平成が始まった頃から言い続けているのに、令和でもまだ我々はニムゲである」
唐突に、のび太がピンクのモヤの中を歩いて、動物の世界に異世界転移する。
そこは夢の世界、動物たちが仲良く暮らすユートピアだった。
ただひとつ、この世界と違うのは、人間が居ないことだった。
ファンシーなタイトルとポスターとは打って変わって、内容は環境破壊への痛烈な批判。
作品には全く登場しない、独善的なエゴイズムを持つひとりの科学者(あるいは複数)が、ある意味で主人公。
環境に優しい食料生産プラントや効率の良い太陽光発電のノウハウなど、極めて高い科学技術が有ったが、それでも戦争は無くならなかったなら、誰だって絶望する気はする。
この作品をリアルタイムで見ていた我々は、既に大人になった。
それでもなお、環境破壊は続いている。
環境破壊による異常気象、各地に溢れる戦争、人間だと知りながらも友達になってくれたチッポに、合わせる顔があるのだろうか。
サイドストーリーではあるがのび太のママが環境破壊について勉強し、その結果で話は終わる。
もちろん、環境保全は全体的な視点が必要で、局地的なものでしかない。
だが、子供たちが奇跡的な戦いをする中、大人になったママもまた、冒険を続けている。
そのことにもまた、メッセージを感じる。