このレビューはネタバレを含みます
川島監督のラブ赤信号パラダイス行き
2012年3月4日 17時57分
日活提供。原作荒木好子。助監督今村昌平。脚本井出俊郎他。監督川島雄三。
DVD再発売もされてきた川島雄三監督作品。オフビート、和製コメディ的監督、ドラマ中心の監督、早くに亡くなるそんな印象。川島監督は、「しとやかな獸」を15年前ビデオ挫折済み。
川島作品で一番のエポックで名高い落語風宿場物「幕末太陽伝」、ウチの近所シネコンでも再上映されてました。
その艶やかな色付けのポスターを見て、何の気なしに借りた本作。日活DVD鑑賞しました。
イヤー素晴らしい。エログロは勿論無し。本当に短い90分未満の尺内に詰まった男女の赤信号、黄色信号。
物語は洲崎パラダイスと言われる赤線地帯前の小さな飲み屋。
通りを曲がれば、がやがやのつれこみお宿。
そこの手前の小さな店先。
「女中求む」の看板。
何やら訳ありの男女一組。
スラリとした元気の無い、愚痴り気味の新珠三千代。
一方ブチブチ文句を言う、ものすごく声の小さい、笑えて同情できる男に三橋達也。
三橋カップルが立ち止まった赤信号。
それは恋の停車か?
腰掛け乗車か?
飲み屋の女将さん轟夕起子
他健康的な食堂娘の芦川いづみ
ブーンと立ち止まる河津清三郎
鑑賞後びっくりした!ユーモラスですっとんきょう声を出すコメディリリーフに川島監督を師と仰ぐ小沢昭一。
お話は、
いつの世も
本作のような
カップルが
もちつもたれつ
ダラリダラダラ
ズルズルべったり
味を噛み締め
噛みきり
止まったり引っかいたり
確かめるラブ。
ラストの素晴らしいループ感
人間のちょっとしたラブの隙間
ラブ模様は、純潔、高貴なんて甚だありません。
シミったれて、言い訳がましくて、だけど一緒が良いのか?
はなれられない男と女
それは、ある意味「だらしがない」関係性にみえなくもありません。
だけどされども男と女。川島演出のいきな演出が見えます。
むしろそこまでのラブを羨んでしまう自分がいました。その赤信号の立ち止まり模様に。
ラブの善悪の是非は抜きにして素晴らしい具合です。セックス抜きで「ラブ」を語る邦画。そして、その味わい。すばらしい!
川島監督曰わく「一番好きな作品」というのも頷けます。
川のたもとで繰り広げられる赤信号なラブ
とっても素晴らしい作品に出会えて良かったです。
川島監督のラブ赤信号パラダイス行き酒場食堂らへん
川島監督のラブの息に吹かれてみてください!
是非立ち寄ってみてください