ウシュアイア

RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語のウシュアイアのレビュー・感想・評価

3.3
[あらすじ]
大手電機メーカーの経営企画室長の筒井肇は,リストラの断行と引き換えに,取締役への昇進の内定を得るが,郷里島根で暮らす母の病気,自分が工場長を務める工場の閉鎖とともに第二の人生を模索していた親友の川平の事故死,をきっかけに自分の家族・人生を見つめなおすことに。肇は,島根に戻り,子どもの頃の夢であった一畑電車の運転手に転身するのであった。

[感想]
最初にこの映画のタイトルを観たときに,実話を元にした話かと思いきや,完全なフィクションだったのには驚きである。映画として世に出ると,なさそうなのにありそうになってしまう。

特に「49歳で電車の運転士になった男の物語」ってついているあたりが実話ベース臭さを醸し出しているのである。

この映画の良さはまさに,驚きの実話を映画化したような感じが出ているところで,一畑電鉄という実在する島根のローカル私鉄を舞台にし,一般には知られていない鉄道運転手研修の様子もつぶさに描かれていて,全体を通じて妙にリアリティがあるのだ。

そして,どこか懐かしいふるさと的な日本の原風景を残す島根,その島根を走るローカル電車,とレトロ感あふれる魅力的な映像に仕上がっている。さらに登場する車両もおそらく鉄道マニアにはたまらないものだろう。

ただ、島根に一度行ったことがある身としては,一畑電車は松江と出雲を結ぶ観光の路線としての側面もあり,完全なローカル線というイメージとはちょっと違うのではないかと思うし,一畑電車自体はバス,タクシー,ホテル,百貨店事業も行っており,島根を代表する中核企業なのに過小評価な描かれ方をしている気もするのだ。

根拠はないけど,リチャード・ギアあたりの主演でハリウッド映画化されたりする気がする。
(2010年6月21日)
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