篠田正浩 脚本監督
脚本 遠藤周作
撮影 宮川一夫
音楽 武満徹
日本映画史に残る錚々たるスタッフによる1971年の作品です。
以前から観たいと思っていた作品で、10年ほど前にはDVDが発売されていましたが、廃盤になってしまっておりレンタルもされていなかった為になかなか観る事が出来ませんでした。
今回、Amazonビデオの配信レンタルで念願かなってやっと観る事が出来ました。
私には、篠田正浩監督は「瀬戸内少年野球団」や「少年時代」のイメージが強く、情感たっぷりなこれら作品と比べるとずいぶんと乾いたタッチの映像で、江戸時代のキリシタン弾圧が描かれています。
なかなか難しい映画でした。
先日、BS NHKで放送された現在公開中のスコセッシ版「沈黙」の特番を見ておりましたので、この篠田正浩版を見ながら、スコセッシ版の予告編のあのシーンはここか…
イッセー尾形や浅野忠信はこの役を演じているのか…
などと思いながら観る事になってしまいました。
驚いたのはスコセッシ版では、リアーム・二ールソンが演じている宣教師フェレイラを丹波哲郎氏が演じている事。
何だこれは?と思いましたが、当時の制作背景を考えれば、フェレイラは結構本編の中で肝となる役柄ですし、高いギャラの外国人有名俳優を使う事も出来ず、たとえ使う事が出来ても果して日本語でこの重要な役柄を演じきれる俳優がいるのか?
また主役のロドリゴとのクライマックスのシーンをカタコトの日本語どうしの演技で引き締まった場面に出来るのか?
ギリギリの選択が、丹波哲郎氏の起用だったんじゃないのか?
丹波哲郎氏であれば007の出演歴もあるし、ポルトガル人宣教師もきっと演じられる。
そして棄教を迫るクライマックス場面も重厚なシーンになるはずだ!
当時そんな葛藤が有ったんじゃないのでしょうか。
この映画本来のテーマもなかなか重く厳しいのですが、私には丹波哲郎氏の登場がインパクトあり過ぎた映画でした。