荒野の狼

力道山物語 怒涛の男の荒野の狼のレビュー・感想・評価

力道山物語 怒涛の男(1955年製作の映画)
3.0
「力道山物語 怒濤の男」は1955年の日活映画。予告編を見ると、プロレスのシーンが多いが、本作は、むしろ幼少期からレスラーになるまでの話がほとんどである(予告編には本編に含まれていないシーンもあるので見ておきたい)。格闘家が本人の半生を演じた映画としては、モハメド・アリの「アリ/ザ・グレーテスト(The Greatest)」があるが、本人が出演するだけでファンには貴重。
力道山がレスラーとして活躍をはじめるのが1954年で、逝去が1963年なので、本作は、まだレスラーとしては初期の頃の作品。日本人レスラーとして遠藤幸吉、東富士は本作に登場するが、1954年に「昭和の巌流島」で対決した木村政彦は登場しない。
本作は冒頭で、映画の内容は創作としている通り、幼少期が九州大村市としているなど史実とは違うので娯楽作品としてみたい。相撲とプロレスの取り組み・試合シーンはすべて実況の映像で、本作のためには撮影されていない。力道山役は、本人が、十両になったときから演じている。すでに本作収録の時は、レスラーになっていた力道山であるが、髷を結った姿を見せており、相撲ファンには嬉しいが、まわし姿は残念ながら披露していない(映画に挿入されている記録映像のみ)。また、力道山がプロレスをやりたい理由に「相撲の強さをみせたい」と発言していることも含めて、相撲に対しての愛情が感じられる点も、相撲ファンとしては評価したい。力道山は、本人が意識したのか否かは不明だが、朴訥な演技で、それが謙虚で人の好い役柄として映画の上では描かれて成功している(実際の短期で傍若無人な力道山像とはかけ離れる)。
映画の冒頭とラストに流れるのは男性コーラスで、テロップには主題歌「栄冠をめざして(美空ひばり)」とあるが、美空ひばりは、本作では1分ほど登場するのみで、歌ってはいない。また美空ひばりの歌「怒涛の男」の紹介も本作にはない。
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