彦次郎

狂った一頁の彦次郎のレビュー・感想・評価

狂った一頁(1926年製作の映画)
4.0
精神病院勤務の男が入院中の妻と抜け出そうとする大正末期サイレント幻想ホラー。
劇中に台詞はおろか説明は一切無し。雨の中の病室、ひたすら踊る女性、覗き込むような目つきの髭面患者たち、狂気と脱力の極みの妻など当時の技術を結集した映されるモノクロ映像は不気味。後年に新規挿入された音楽も神経に障るものがあります。雨降る深夜に鑑賞した為か呪いのテープを長時間見ている感覚に陥りました。
実際は川端康成が脚本協力する等、芸術的な意気込みに力を尽くした作品です。あまりにも前衛的で100年後にも古びていない尖り具合で当時は当然の如く理解されず赤字でクリエイター達に違う意味で恐怖を与えた作品と推察されます。
能面を被せていく場面が強烈な印象。悪夢体験として忘れる事のできない問題作。
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