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非常線の女のikumuraのレビュー・感想・評価

非常線の女(1933年製作の映画)
3.7
Couplerというバンドが音楽を担当、生演奏で上演という企画で。そう思ってみると、サイレントってリズミカルで映像にメリハリがあってオシャレで楽しい。

他の人のレビューで、なんとなくそんな感じかな、と思ったように、小津監督がこんなギャング映画風メロドラマを、という驚きと、こういうテーマなら、もっと合う監督なら間延びした感じなく撮れるだろうな、という感想とがあって、でも、ところどころに出る小津らしさ、生活感やヒューマニズムが、やはりたまらない(まあそれがストーリーを中途半端なものにしてることは否めないが)。

しかし、サイレントで輝く田中絹代の、あどけなさと妖艶さを行ったり来たりするあの魅力は何なのだろう。水久保澄子の、現代的な美人感が役柄の透明感もあいまって非常に気になったのだけど、実生活は彼女の方が破天荒だった模様。まあ役柄も、潜在意下でそういう危うさを醸し出してる感がないでもない。あと、男の化粧厚塗り感もすごいよね。当時の映像の特性に合わせたものなのか、オーディエンスが当時は女性中心だったのか。
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